魅惑のヴァンパイア
―――…


玄関のドアをノックする前に、慌てた様子の執事がドアを開けた。


驚いて、出した手を引っ込めるのが遅くなってしまった。


「ピーター様でいらっしゃいましたか」


 長身で黒髪の端整な顔立ちをした執事は、落胆した顔を隠さずに言った。


「ヴラドは?」


「ご主人様はここ数日帰って来ていないどころか連絡も取れない状況であります」


 なんてことだ。


ここにも帰ってきていないなんて……。


「風の気配がしましたので、もしやと思ったのですが……」


 執事の様子から、ヴラドを隠し、嘘をついているようには見えなかった。



ドダドダドダドダと階段を駆け降りる音がして、「ヴラド!?」と頬を上気させて現れた女の子。


少し赤っぽく輝く髪に、妖精のような透明感ある白い肌。
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