魅惑のヴァンパイア
朝目覚めると、シーツが冷たかった。


いつものことではあるけれど、不思議と寂しいと思わなかった。


いつもと違うのは、テーブルに一通の置き手紙があったこと。


白いメモ用紙に、一言だけ『お前を死なせはしない』と書いてあった。


 胸が苦しくなって、一枚のメモを抱きしめた。


嬉しいけれど、違うの。


私が求めているのは、そんなことじゃない。


限られた命のタイムリミットよりも、一緒に居てくれる時間が大切なの。


ヴラド……いなくならないで。


私の側にいて。


私をずっと、抱きしめていて――

  
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