もてまん

途中、コンビニでおにぎりを十個買って、保冷バックにしまった。

最近は二十四時間営業のコンビニがあるので世話がない。

こんな早朝出立でも、母の手を煩わせることなく食料が調達できる。

始発に近い早朝の電車は、それでも、繁徳達と同じような釣具を担ぐ人や、仕事帰りのサラリーマン風の中高年、派手に着飾った女性達で、座席は半分ほど埋まっていた。

街も二十四時間営業だ。

繁徳は妙に納得して、正徳を見た。


「開場、六時からだから、余裕で間に合うな」


繁徳の視線を受けて、正徳が呟いた。


「そうだね、並んでないと、いい場所取れないからね」


若洲海浜公園の海釣り用の堤防は、都会から近いこともあり、いつも結構混んでいる。

会場六時過ぎに行くと、もう開いてる場所を探すのが大変なのだ。

どうせ釣るならやっぱり、堤防先端の海よりの場所がいい。

JR京葉線、新木場駅から海浜公園行きのバスに乗る。

まだ人影はまばらだ。

繁徳は、正徳と二人、安心した心持でバスに揺られていた。
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