都会の魔女
「拓也・・・行かないで・・・」


早苗は何とか力を振り絞り、這うように玄関を出ると
フロアの廊下の手すりにつかまりながら、ふらふらと歩いた。

外を見ると、すでに真由美と子供たちは、眞由美の車のある立体駐車場に上がって行くところだった。

「拓也・・戻ってきて。

今日は、今日だけはダメなの・・・」

思うように足が進まない。

そうこうしているうちに真由美たちは車に乗り込んでしまった。
< 135 / 345 >

この作品をシェア

pagetop