都会の魔女
そこへ一人の男が、イシュと同じように勢いよく角を曲がってきた。

曇った街灯に照らし出されたその姿は
黒のニット帽を深めに被り、シワだらけのジャケットをルーズに羽織った、小柄な男だった。

男は息を切らせながら周りをキョロキョロ見回した。

「あれ~?見失ったか?」

その時、イシュが物陰から
“ぬっ”
と現れた。

「私に何か用?」

「わー!びっくりした!!」

男は驚いて、今来た道を戻り
走って逃げて行ってしまった。

「何なのかしら・・・」

イシュは訝しがった。
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