都会の魔女
美容師が店を変わる時に
多少の顧客がお気に入りの美容師に付いて店を変える事は良くある事だが
恵介の客にまでハガキが届くなんておかしい。

「あいつ、俺の客まで盗む気か!」

恵介は今日が新月だと言うことを忘れ
その日の仕事が終わると、直人が新しく美容室を開店すると言う場所に行ってみた。

そこは高級住宅地で
周りにはセレブ御用達の店がいくつも建ち並ぶお洒落な環境の中に建つファッションビルだった。

直人の店はその2階だった。

オープンは明後日らしく、早くも入り口付近にはお祝いの花が置かれ
道路に面した2階の全面ガラス張りの店の中では、スタッフたちが忙しそうに器具の位置確認やミーティングなどをしていた。

その中には、以前恵介の店で働いていたスタッフの顔もあった。

< 261 / 345 >

この作品をシェア

pagetop