初恋タイムスリップ【完】
F医科大学病院…



やっぱり夢じゃなかったのか…

「お父さん仕事をやめたのっていつだっけ?」



お父さんはちょっとむせた。


「う、うん。やめたというか、正しくはリストラだ。

美音が受験生の時だったんじゃないか…たしか」


やっぱり修正されてないんだ。





「行ってきます」




私は急に大人になった変な感覚を覚えながら、玄関を開けた。



昨日がすごく遠くに感じる。


外は所々雪が残っていた。



思い出の道をヒ−ルの高い靴で歩きながら、私は広い青空をみた。




もう

過去は振り返らない。





思い出は大切に胸にしまって、前を向いて進んで行こう。




「うん!」





私はバス停へ急いだ。




駅に着くと、音楽教室まで歩いて、ビルに入って行った。




何も変わらない。



私はまた


ごくごく普通の


ピアノ教師に戻った。










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