初恋タイムスリップ【完】
「電話があったことは伝えますから…はい?…」

あきらかに不機嫌なお母さんの声が、部屋まで聞こえてきた。


そして血相を変えてお母さんが、私の部屋に入ってきた。

「美音、なるみっていう男の子から電話があったけど、あんた、付き合ったりしてないでしょうね!」


髪がボサボサで病的なほどにまでやせ細ったお母さんが、

私のくったりとしたパジャマの襟ぐりを掴んだ。

その顔は、まるで般若のような、青白く恐ろしい顔つきをしていた。





お母さんは、


私が小さいころは、とてもきれいな人だった。


仕事人間のお父さんは、ほとんど家に帰ってこなかった。

お母さんは私が中学に入ったぐらいから、いきなり泣きだしたり、叫びだしたりと、


精神的におかしくなっていった。


それと同時に外見も変化していき、急激に老けていった。


そして…


お母さんが老けていくのとは逆に年頃になっていく私。


そんな私を、お母さんはとても憎んでいる。



洗面所で髪をとかしていたら、いきなりお母さんが入ってきて、私の髪の毛をわしづかみにして、


「あんたなんかきれいになんか、なんないのよ!!あんたなんか…!!!」


そう叫んで、私の髪をぐしゃぐしゃにした。






母親は自分の外見がどんどん老けていくことを受け入れることができず、

どんどん娘が「女」になっていくことが、どうしても許せなかったんだ。









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