初恋タイムスリップ【完】
深夜、私の部屋のドアを叩く音がした。


ドアを開けると、お父さんがいた。

「なんだ、話って」



お父さんを部屋にいれ、廊下を確認してから部屋のドアをしめた。


「お母さん…変わってしまったよね。外見も性格も…」


「あぁ…そうだな」


お父さんは困った顔をしていた。

「お父さん、一緒に協力して、お母さんを元のお母さんにもどそうよ」


お父さんはびっくりした顔をしていた。


「美音…お父さん実は…ちょっと会社が今大変で

なかなか家に帰れないんだ。

これは母さんには言わないでくれ。不安にさせてしまうから。

だから、協力と言っても。

帰ってきた時に母さんの様子を聞かせてくれ」


「うん。わかった。お父さんも仕事無理しないでね」





「美音…。ごめんな。
何か困った事があったら携帯に電話してきなさい。

あと、これ…」


お父さんは財布からお金を出して私に渡した。


「何?」



「好きな物を買いなさい。洋服、全然買ってもらえてないんだろ?
母さんの手前…こんなことしかできない父親なんて…情けないな。ごめんな」


お父さん…やっぱりお父さんはお父さんだった。


「ありがとう…お父さん」


「また足りなくなったら言いなさい。

美音なら無駄遣いするようなことはないだろうし

今までを思えば、少しぐらい無駄遣いしたってかまわないとお父さんは思ってるいるぐらいだ。

女の子なんだ。オシャレだってしたいだろう?

美音は美音の道をいくんだ。
親の顔色をうかがって生活することないんだ。

ただ、これを母さんに言ったら

おかしくなるだろうなぁ。


じゃ…おやすみ」



「お父さん…おやすみなさい」






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