木霊の四辻
ゆいはすぐに流しへ吐き出した。蛇口を捻ってすすぎ、うがいもする。

「どうしたの? 宮部さん?」

「……別に。なんでもないわ」

「?」

疑心暗鬼の相田も、うがいをしているだけでは人を疑えない。

だからゆいも、それ以上なにも言わなかった。

スカートのポケットを探り、ケータイで燈哉へ連絡を取る。

彼は三コール目が切れる前に出た。

「私。ええ。当たりがついたわ。今から言うようにして。いい? 覚えて」

――そして必要事項を伝達したゆいは、ぱちんとケータイを二つ折りにした。

体を起こした相田が、不思議そうにゆいを見ている。

「安心して相田さん」

「え?」

「木霊の四辻なんて怪異、今日これからこの私が、矯正してきてあげる」





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