片腕の人形
第二話
しばらくすると、三澤から電話が来た。

俺が携帯とって、「はい」という前に、

「真。連絡とれない」

という声が遮った。

「はん?」

「だから、健志と連絡とれないんだよ。メールも電話も」

「確か?何分くらいたってる?」

「メールしてから10分たってる」

「それは異常だ」

「でしょ?あいつ女子からのメールは3分以内に返してくるのに」

俺は頭をかいた。

健志は確か、猫と格闘している。でも俺が電話してから30分はたってる。

「諦める」が特技の健志が猫を深追いするはずがない…。

そして女子からのメールを放置…。

「もしかして健志の身になにかあったのかも…」

「…やめてよ。こっちは英明のことでも色々堪えてんのに…」

「あ…悪い。じゃあ、優衣に頼めないか?とりあえず試しておきたいし」

「うん、頼んでみる」

ブッという音と共に電話が切れた。

その後俺は出かける支度をした。

もし、優衣のメールの結果がわかったら、健志の家に直接行こう。

「どのみち会う予定なんだ」

俺は携帯をポケットに入れると玄関に向かった。



玄関から親に「遊びに行く」と一言告げた瞬間、携帯が鳴りだした。

携帯を開く。

「優衣?」

俺は電話に出た。

「あっ荒崎君?」

「うん。優衣からなんて珍しいね」

「あ、携帯…あんまりいじんないから」

「へぇ。…優衣、大丈夫?」

「うん。今は結構落ち着いてる」

なんだが優衣の声聞くと安心する。

それと同時に優衣の声はか弱そうで、ちょっとしたことで崩れそうだった。

「そうか。怖い思いさせて、ごめんな」

「どうして荒崎くんが謝るの…?」

「なんか…英明の家…俺が行くべきだったなぁって」

「私たちが勝手に動いたんだから、荒崎くんは何も悪くないよ」

「…でもゴメン」

俺は静かに言った。




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