ケータイ小説ストーカー

勉強の合間に毎日更新し、友達や親にもケータイ小説を書いている事を告白したが、皆無関心で読んでくれる気配も無い。


夕食を済ませ、英語の予習を終えた後に携帯電話を見詰めながら、萌絵は大きく溜め息を吐いて項垂れた。

「はあ…」

その深い溜め息に、周囲の空気さえもが重くなる。


更新しようとケータイ小説サイトにアクセスしたが、昨日と全く同じPVに一気に意欲が失せたのだ。

最初は、自分が書いたものを読んでくれる人がいる事が嬉しくて、感想を残してくれる人に励まされて書く事が楽しかったが、今の萌絵に滲む感情は無力感だけだった。


「才能無いのかな」

思わず口から溢れる言葉に、思わず泣きたくなってきた。


スボットライトを浴びる事が出来る人の確率は、1,000分の1とか10,000分の1だ。

それから考えれば、萌絵の様な思いを抱く作家が大半だろう。


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