ケータイ小説ストーカー

そして約束の土曜日――

花音は10時40分に、一番近い駅に向かう為に自宅を出た。


花音はブラウン系の膝丈のスカートに、白い腰迄のダウンジャケットを羽織っていた。

その服装が、初対面の2人を引き合わせる為の合図。

「明るいカーキ色のコートにジーンズ、それに肩までの少し茶色かかった色の髪…これだけ分かっていれば、絶対に会えるよね」

肩から下げた鞄に、作成した「もう二度と会えない」の文庫本を入れた花音は、歩きながらそう呟いた。


11時12分着の普通電車で、ツクシは駅に到着する予定だった。

花音の自宅から駅までは、ゆっくり歩いても15分程度。花音は早く会いたくて、かなり余裕をもって家を出たのだ。


その先に、誹謗中傷や叩き行為よりも厳しい地獄が待っている事など、微塵も思ってはいなかった。


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