天使の羽が降る夜に


兄貴たちが帰ると未紅が姿を現す。

「舜の好きな人って・・・純さん?」

未紅にしては勘がいいな。・・・俺純ちゃんに好き好きオーラ出してた?

気づかれないようにしてきたつもりだったのに・・・。

兄貴と純ちゃんは憧れなんだよな・・・俺もあんなふうに誰かを好きになってみたかったし、誰かに好きになってもらいたかった。

普通の幸せでいいから・・・・・手に入れたかったな。

話が終わると

未紅が俺を抱きしめる。

「未紅!?」

なんだよ。いきなり・・・。

「泣いてんの?」

「泣いてないもん」

優しいね未紅。

俺、本当は未紅から死の宣告を受けたとき、どうしていいか分からなくて。

死の恐怖に怯えてた。・・・・でも、未紅が来てくれて、その気持ちが和らいでいくのが分かったんだ。

未紅がいなかったら俺、自分から命を絶っていたかもしれない。

・・・まあ、未紅がいなかったら死ぬことは分からなかったんだけども・・・。

でも、天使って触れるのな・・・初めて会ったとき「体はムリ・・・」って言ったのが分かった。

・・・俺、未紅に惚れてる。

このまま抱いてしまいたい・・・・・・が、確実に死ぬと思う。

命の時間ぎりぎりまで一緒にいたいから・・・欲求は抑えよう。・・・うん。そうしよう。

未紅はそっと俺から離れる。

・・・やっぱり泣いてるじゃねーか。

そっと涙を拭く。

「・・・ごめん、泣いたりして・・・」

「未熟な天使だな」

「・・・だね」

ふっと微笑んだ未紅。

・・・ヤバイ。

・・・キスしたい。

・・・すげぇぇ可愛いんですけど!

「ばか未紅」

「え?なんで?」

「その体制ヤバイから離れろ」

俺の言葉で分かったのか

「あ、ああ、あ、ああ、ご、ごおめん」

ごおめん?

あせりすぎて言葉がおかしくなっていた。






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