天使の羽が降る夜に
別れのとき

未紅



聖夜さんとの話はなんだったんだろう・・・。

気にはなったけど・・・聞きだせず。

・・・もう舜の命も残り少ない・・・・。

「未紅・・・今日までありがとな」

ベッドに手を繋いで座っている私に話しかける・・・。

私は・・・・涙が止まらずにいた。

「未紅・・・泣くなよ」

フッっと笑い、私の頭をくしゃくしゃする。

「だって・・・」

「・・・俺、未紅と出会えて幸せだったよ」

「舜・・・」

私も・・・私もだよ・・・。

「はじめはさ・・・なんで未紅は天使で俺は人間なんだろうって・・・どうしてこんな形でしか知り合うことが出来なかったんだろうって・・・そう思った」

私も何度も思ったよ・・・。

「でも、これは神様が最後に俺にくれたご褒美だったんじゃないかって、思うようになった」

「ご褒美?」

「そう、俺は未紅に出会わなかったら、そのまま何も変わることなく死んでいったはずなんだ」

「うん」

「だけど、未紅に会うことが出来て・・・命の時間が分かって・・・なくなる前にやれることはすべてやることが出来たし・・・初めて恋ができたし・・・」

「え?・・・初めての恋は純さんなんじゃないの?」

「・・・そうだな~・・・恋じゃなかったのかも」

「え?」

「俺、ずっと憧れてた・・・兄貴と純ちゃんの関係を・・・」

「憧れ?」

「うん。ずっと誰かを好きになりたかった。そして好きになってもらいたかった。その願いを未紅がかなえてくれた」

舜は強く私の手を握った。

「俺の・・・俺の初恋は、未紅・・・・お前なんだよ。・・・好きになってくれてありがとう」

「舜!」

抱きしめずにはいられなかった。

舜も抱きしめてくれる。

「ごめんな・・・本当は俺が・・・俺が幸せにしてやりたかった・・・」

なぜ、別れなんてくるんだろう。

別れたくない・・・死なせたくない・・・。

私は天使なのに・・・何もしてやることが出来ない・・・。

なんて無力なの・・・。

「舜、私は幸せだよ?・・・舜と出会えることができたから・・・」

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