妹A ~5人兄弟+1~
「ごめん。辛い思いさせてるのは分かってる。僕が悪い…。だけど今は我慢して」


駿が理彩の髪を撫でる。



「ね、今晩、会おうよ。ちょっとでいいから。すぐ帰るから」



見つめ合う瞳が相手の答えを探る。



「お願い!!もうわがまま言わないから」



「分かった。後で連絡する」



理彩の勢いに少し押された。
これが若さなのかもしれない。



「ありがとう!先生」



理彩はもう1度駿に強く抱きつく。



駿は黙って抱きしめる。
宝物を触るように…



「理彩…、好きだよ」



こんな歯の浮くようなセリフを言えるのは、相手がかなり年下だからか…



理彩の気持ちを満足させるのに内心、必死なのか…



いや…、気持ちは駿も一途で突っ走る、十代の頃に戻っている。



理彩は安心すると、名残惜しそうに何度も振り返りながら帰って行った。

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