トリゴニコス・ミソス
パレルソン・アラギ(過去・変化)
そこは誰も住んでいない古い洋館の一室。

三人の子供が部屋の中央で手をつないで仲良く眠っていた。

一人の女の子を守るように両脇を二人の少年が囲んでいた。

まず初めに気がついたのは、黒髪の少年。

次いで金髪の少年。

二人はどちらも少女が目を覚まさないように、その少女の寝顔を愛しそうに見つめていた。

金髪の少年が黒髪の少年に話しかける。

「ねえ、太陽。あのときの約束覚えてる?」

「約束?」

「うん。何があっても美名のことを守るっていう約束」

金髪の少年は、少女から眼を離して黒髪の少年を見つめた。

黒髪の少年もその視線を受け止めた。

「ああ、覚えてるよ。それがどうかしたか?」

「う…ん、その約束にもう一つ付け加えてもいいかな?」

「何を?」

「僕たち今までお互いに美名の気持ちを尊重して、美名に対して抜け駆けしないようにしてたでしょ?

――それをなしにしない?」

「なんで?」
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