【短編】俺と鬼畜でカワイイかまいたち



「バカバカしいとか言うならそれなりの理由があるんだろうな」


カツカツと廊下を歩く二人分の足音が反響する。


「彼女らの言う『かまいたち』は生徒しか襲っていません。それがどうして突然幾つもの花を切りつけるんですか?しかも丁寧に花弁だけが切り落とされています」


突き当たりを曲がり階段を上っていく。


「私の言いたい事わかりますか?」


「あんまり」


「早くトリカブトを摂取してください。テトロドトキシンでもいいですよ?」


両方とも凶悪な毒だ。一舐めでも逝っちゃう。


「つまりはですね。犯人はイタズラではなく、明確な悪意を持って花弁を切り落としたんです。あの花壇を管理しているのは私。もしくはミトコンです」


「あだ名なのかミトコンって」


「つまり犯人は私かミトコンドームに恨みを持つ人物だと想像できます」


「おいマジでミトコンドームは止めろ。ミトを取ったら俺のあだ名は取り返しのつかない事になる」


階段を上ってる途中用務員のオッサンとすれ違った。


あとでオッサンにも聞き込んどくか。


< 6 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop