[妖短]夢幻寺

─いやね、不思議。と言いますか不気味。と言いますか…

それは、私どもに、子ができた刻の事でございました。

子供ができたんですよ。

私は、そりゃもう嬉しくって。
妻も喜んでおりました。

十月(とつき)は矢の如くに過ぎ、いよいよ、生まれたのでございます。

月が、綺麗な宵でしたよ。

今でもはっきりと覚えています。
生まれたと言うので、早速行ってみると、女中達があっちへうろうろこっちへうろうろ、それはもうてんやわんやの大騒ぎでございました。

それがね、ちょっと違うんですよ。雰囲気が。

皆、平静を装っているような…

あれ?と思いましたね。

妻と子に会いたいと言いましたが、案の定、止められました。

どうも嫌な予感が致すものですから、私も躍起になって。無理矢理部屋へ押し入りました。

いましたよ、妻と、子供。

腕と足が片方ずつ繋がった、子供が。
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