ラバーズキス
‥* 出逢い *‥
3月になると日差しは春のように暖かいのに、空気はまだひんやりしている。
久しぶりに来た学校は卒業式の準備で慌ただしかった。3年生は2月から学校が休みで、卒業式の今日が1ヶ月ぶりの登校になる。

あたしの名前はりん。今日、高校を卒業する。
教室の入口には後輩たちが群がっていて、中には早くも泣いてる子もいた。

「りん、会いたかった~!」
教室に入るなり、友達のエミナが抱きついてきた。小柄で幼く見られるあたしに比べてエミナは背が高くてスタイルもいい。金色の髪をおでこ全開で大きなおだんごあたまにしているから、もっと背が高く見える。エミナの後ろにいた大哉(ダイヤ)が「きのうも会ったじゃん」と言うと、イヒヒとエミナが笑う。
大哉はエミナの彼氏で、とても人気がある。教室の前にいた女の子達のお目当ては大哉だった。
「だって~、卒業したらりんは大学の近くで一人暮らしじゃん。そしたら毎日会えなくなるし~」
あたしは隣県の大学に進学が決まり、通学にあまりにも時間がかかるので一人暮らしすることにしていた。エミナと大哉は地元の美容学校へ進学することになっていた。
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