チョコは誰の手に【短編】
チョコの行方
「どうしたの?」
田中 智が優しく微笑む。
言わなきゃ…
言わなきゃ…。
あんだけ練習したぢゃん。
「あの…えと…。
す…す…す……」
「す…?」
怪しく吃る私に、なおも優しく微笑んでくれた。
「……スキ…です。」
そう言って、紙袋に入ったチョコを差し出した。
「え…と、これもしかして…バレンタイン…の?」
総てを悟った田中 智が、少しだけ困った顔をした。
もしかして…私。
「有難う。でも…ごめんね?
これ受け取れないよ。彼女に悪いから…。」
カノジョ…?