ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
「正直なところ。
 亡くなった恋人にそっくりなあなたをみて。
 刹那が心を痛めるんじゃないか、と心配してたんです」

 そう言って、那由他さんは、ため息をついた。

「だけども、刹那は、思っていたよりは、大分楽そうですよ。
 それは、あなたが、前の女優とは違うモノだ、と刹那が認識出来たからです。
 きちんと代役を務めながら、そんな微妙な調整ができるのは。
 きっと『あなた』だからで。
 他のヒトには、できないこと、なんじゃないですか?」

「……そうかしら……」

 ちょっと、那由他さんは、ほめすぎのような気もするけれども。

 もし、わたししかできない、何かがあるというのなら。

 それはとっても嬉しいことだ。

 文句とか、ぐち、とかって言うモノは、いつでも言えるけれど。

 頑張ってみるのは、今しかないかもしれない。

「そうね。私頑張ってみる……」

 ようやく、顔をあげることのできたわたしに。

 那由他さんは、頷いた。

「実は。
 刹那は、この映画を最後に、俳優を引退しようとも、考えているようです」

「……え?」

 
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