☆夢色の星たち☆〜white,bonds〜
「わかりまし、おそらく、虫垂炎だと思います、この痛がり方ですと触診の判断ですが、少し腹膜炎を起こしてるかもしれまん」


「この子、そんな様子じゃなかったんです、少し熱がある程度かと……」


「お母さん!腹膜炎を起こしかけてるという事は!もっと前に、高熱、食欲不振、嘔吐は必ず、あるはずです」


「……」


「もっと、子供さんを見てあげてください!」


「どうしても、行きたいと……向かう街に自分の見たいものがあると…ですから…日取りを決めた今日、キャンセルできなかったんで」


「そんなのなら、虫垂炎を治してからでも遅くはないはずです」


「……この子には……時間がなくて……」


ティアラは、我にかえった………


「…もしかして、病気は、これだけでは…なかったという事ですか…」


「はい、末期の癌なんです…」


ティアラは言葉が出ず
そこに立ち尽くした


「とにかく、お子さんに鎮痛剤を打ちましたから、空港到着次第、病院で手術を受けてください」


医者という事もあり、注射針などの持ち込みは許可されていた、ティアラは席にもどると、落胆をかくせなかった


「患者さん、どうだったんですか」

と、問いかけられても
口がすぐには開かなかった
< 72 / 108 >

この作品をシェア

pagetop