VS~Honey~

数学準備室は…



私たちは荷物を受け取り実験棟へむかった。

この学校は本棟と実験棟が分かれている。

実験棟は移動教室くらいでしか使わない。
いつも薄暗いし、なんとなく空気は冷たく静かだ。

誰もいない数学準備室に着き荷物を片付けながら、ふとさっきの会話を思い出した。



「ねぇ、そういえば青木って誰?」

「お前知らねーのか」


あ、家バージョンの晴紀だ。
二人だからか口調がガラリと変わる。


「知らない。ていうか、言葉遣いが家バージョンだけど?」

「いいだろ、別に。お前しかいねーし」



そうだけど。どういう意味さ。
その雰囲気が表の晴紀なら間違いなくファンの子は顔を赤らめ卒倒するだろう。



「あ? 別にそのままの意味だから。何? ちょっと期待した?」



ニヤリと笑い振り返る。
うわ、意地悪な笑顔。


「そういうわけじゃない」

「ふ~ん?」



ニヤニヤしながら近付いてくる。
後ろには机があり、これ以上は下がれない。


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