VS~Honey~
睨まれても怖くない。
私はなにも悪くはないし、ある意味これは正当防衛だ。
晴紀の目力に怯みそうになるが、私も負けじと睨みかえす。
「どうせわかっててからかってるんでしょう!?」
「え? え? だから何が!? 俺何かしたか?」
私の怒りに晴紀が困ったような表情を浮かべ、狼狽える。
本当に覚えてないのか?
まさか本当に眠ってたっていうの!?
からかっていた訳でもなく?
なにそれ、すっっごく腹立つ!
私はキッと睨み付け、悔しさからソファーを叩いたら。
「もう! 覚えてないならいい!」
「あ! おい!」
私はドカドカと2階に上がり、部屋に入った。
信じられない! あんなことしておいて覚えてないっていうの!?
一体どんな神経で寝てるのよ!
鼻息荒くベッドに拳を打ち付けていると、コンコンと控えめにドアがノックされた。
そんなことするのは一人しかいない。
私は無視をして布団をかぶった。
「おい、美紗」
返事がないせいか、晴紀がゆっくりドアノブを回して部屋に入って来る気配がした。
「俺、何したか言えよ」
言い方は偉そうなのに、声は柔らかかった。
布団を被っているのに晴紀の困ったような顔が浮かぶ。
「俺、本当に覚えてないんだ。熟睡してたみたいで。教えて。俺、お前に何した?」
晴紀はつぶやくように聞いてきた。