オレの宝物。それは君の笑顔【完】
Ⅰ.中学時代

気になる彼女

<織田貴文(おだたかふみ)>


中学に入って2度目の土曜日。


新入生はまだ部活に入部できず、暇を持て余したオレは、ついこの間まで入っていたサッカークラブの試合を、同じクラブ出身の何人かと見に行った。


「早く部活始まらないかなあ」

「ホント、体がなまっちゃうよな」


グランドから少し離れた場所で観戦しながら、オレたちは他愛もない話をしていた。


「柚夏子(ゆかこ)は部活どうすんの?」

「う~ん、陸上部にするかも」


柚夏子もずっと同じチームでサッカーをやってきたが、オレたちの通う緑丘東中学では、女子のサッカー部入部は認められていなかった。


「外でやるスポーツ、好きだね~。また日焼けすんぞ」

「よけいなお世話よ」

「ところでさ、隣りのクラスに、めっちゃカワイイ子がいるんだよ」

「北原香奈(きたはらかな)だろ。確かにカワイイよな~」

「髪の毛とか、めっちゃキレイっしょ」

「シャンプーのCMに出られるよね~」

「笑うと、えくぼ、できるんだぜ」

「知ってる~。超カワイイよね~」

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