オレの宝物。それは君の笑顔【完】
今年のバレンタインデーにも、タカはいろんな人からチョコをもらっていた。


部活が終わって部室の前で会った時、


「相変わらず、モテモテだね~。記録更新した?」

「……そんなの、どうだっていいんだよ」 


いつものように、ハイテンションで話しかけたけど、タカのテンションは低い。


すぐに、その理由に思い当たった。


「たくさんのチョコより、たったひとつ、あの子からのチョコが欲しい、とか?」

「あの子って、誰だよ」

「あの子は、あの子よ。だけどもう、あの子にはカレシがいるもんね~」

「バカ、オレは北原のことなんて――」

「北原さんだなんて、私、ひとことも言ってないけど?」


私のツッコミに、


「柚夏子は、今年も、チョコ渡す相手いないのかよ」


タカは真っ赤な顔で、ささやかな反撃。


渡したい相手なら、2年前からいる。


でも、渡せない。


この関係を壊したくなかったから。


「私の理想は、高いのよ~」


カバンの中の、チョコ。


結局、今年も、自分で食べることになってしまった

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