オレの宝物。それは君の笑顔【完】
音楽の授業の後は、プチリサイタル。


それが恒例となり、そのうち、男子までもがリクエストするようになった。




「今度『Dreams』弾いてよ」


学校では言えないので、オレは夜の帰り道でリクエストした。


今年の高校サッカーの応援ソングを。




次の音楽の授業の後。


北原はいつものように、みんながリクエストする曲を弾いていたが、不意に『Dreams』を弾き始めた。


オレのために――。


オレだけのために弾いてくれていたのに、邪魔をしたのは。


――高野。


「あ、この曲、オレも好きなんだ」


高野は北原のすぐ左側に立ち、一緒になってピアノを弾き始めた。


それこそ、腕なんか完全に触れちゃうくらい、くっついて。


そして、北原は楽しそうにピアノを弾き続けていた。

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