《短編》幼馴染のその後に
自分の席でもソワソワしちゃって。


無意識にドアに目が行ってしまう。



『おはよー。』


『おー、タケル!
今日もギリギリ!(笑)』



き、来たー!!


瞬間、体が固まってしまった。


そんなあたしとは関係なしに、タケルは当たり前のように自分の席に腰を下ろす。


あたしから少し離れた位置に見える後姿に、とりあえず安堵のため息が出て。


あたしはこれから、ずっとこんな風にビビるのだろうか。


自分だけ気にしてるみたいで、それがすごく腹が立って。


だけどあたしは、“昨日のアレは何?”なんて、聞くことが出来なくて。


悔しいやら悲しいやらで、最悪だった。


そして、誰にも言えなくて。


だけど事態は、勝手に動いてくれた。


あたしの知らないところでも、勝手に地球は回ってて。


それに気付かされたのが、その日のお昼休み。



『…実はあたし、二人に話があるの。』


頬を赤らめ、結衣が口を開く。



『何~?』


その瞬間、目の輝いた七海が聞き返す。


だけどあたしは、心ここにあらずで。



『…実はあたし、タケルと付き合うことになったの。』


「―――ッ!」


その瞬間、頭が真っ白になった。


結衣の言葉の意味なんて、何も理解出来なくて。


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