エゴイズム。
ざわざわと騒ぐ生徒を黙らすように仲西雄大は手の平をパンと鳴らした。

「まだ、話は終わってないですよ。なぜこんなことが出来るかという疑問をお持ちでしょうから話してあげましょう」

仲西雄大はよろしいですか??と、俺と夏目に同意を求めてきた。

聞かずに銃撃を始めて全てを終わらしてもいいのだが、この事件の結末を知らないままでは気持ち悪いから俺と夏目は同意することにした。

「それでは続けます。あの日、僕はあなたに撃たれて病院に運ばれました。しかし、僕は防弾ジョッキを装着していたので無傷です。じゃあ、なぜニュースには死亡したという嘘の情報を流せたかという疑問が産まれますよね、それは親父もグルなんですよ。親父は議員で顔も広く、警察や病院や報道局に圧力をかければ容易く言いなりになります。恐らく、親父は病院や警察や報道局の秘密を握っているのでしょうね。だから記者会見も開けたんですよ」

俺は仲西雄大の話を聞きながら手の込んだ計画をするもんだなと感心した。

「お前は、俺たちをここに誘き寄せて殺してお前に利益があるのか??」

俺がそう伝えると仲西雄大はありますとはっきりと断言した。

「この裏社会を僕のものにするためですよ。麻薬や金は勿論のこと、巨大な権力を手に入れるためには少々あなた方は邪魔なんですよ。闇社会に強い奴は僕だけでいいんです。だから二人を誘き寄せて一気に始末することにしたのです。これが僕の利益であり目的です」

その語る姿はユダヤ人を大量虐殺した歴史上の独裁者を見ているようだった。




< 23 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop