泣いた赤色、うたかたの青
女の子はまた黙ってしまった少年に近づいて、

顔をのぞきこんで、

白い手をのばして彼のほっぺたにさわりました。


ヒンヤリした魚のような手でした。


「きれいな目……」

女の子にそう言われて、少年は面くらってしまいました。

「髪の毛も、とってもキレイな色……」


そんなことを言われたのは、生まれて初めてのことです。
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