それなら君を連れて逝く。
再会
それは、ほんの一瞬の出来事で。

全身の毛が逆立ったみたいに、頭の先から足の先まで何かが通り過ぎた。


「大丈夫ですか?」


急に眉を顰て、こめかみを押さえるようにして俯いた俺に、届いた声は先程までとは違って、どこか懐かしかった。


「あ、うん。立ちくらみ。」


心の奥底で、心臓が絶え間無く血を吐くように、何かが動き出した。

それが何かなんて解らない。


「そうですか。」


ただ、目の前の名前も知らない君を…

愛おしく思う。




「それなら君を連れて逝く。」

「えっ!あっ‥‥えっと、それは、なんと言いますか…」


もう一度、さっきの話を蒸し返した俺の声に君は、また気まずそうに顔を歪めて、言葉の先が出てこない。


「…名前は?」

「私の?」

「当たり前だろ。」

「白鳥 雪音…です。」

「俺、黒岩 尊。よろしく。」

「よろしくっ!」


目の前でハニカム君はやはりどこか懐かしさを感じる。


それは、遠い昔から約束されていたように自然に俺の胸を叩いた。


彼女の名前は白鳥 雪音(シラトリユキネ)


俺の…そう、きっと‥‥

運命の人。
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