最初で最後
音
体育館に近づくにつれ、ボールの音が鮮明に聞えてくる。
その音が脳裏に焼きつくように残る。
空手部の癖に、慣れないバスケなんかやって。
馬鹿だな、何て。
でもこれじゃ本当に彼氏みたいだ。
―ギッ
体育館の重たい扉を開ける。
そこには俊也の言うとおりに環が居た。
出来ないくせに3ポイントの位置からフリースロー。
あたしでも滅多に入らないのに。
空手部が入るわけが無い。
「ばーか」
「…光」
ころころと転がってきたボールを手に取り、
ゴールにボールを投げる。