光る道
約束通り、出勤してすぐ薫の部屋へ顔を出した。




「おはよ! 後でまた来るね。」



「おぅ! 頑張れよ!」




この前の女性の事が少し気になったけど、朝から聞くのは止めた。






でもその日はとにかく忙しく、薫の部屋に行けたのは夕方だった。





「失礼しまーす。ごめんねー。遅く・・・」




中に人が居るのに気付き、言葉が止まった。




彼の入院は内緒にされてたから面会も少なく、私は仕事中なのに油断して、普通に話し掛けてしまった。






「あらー。やっぱり貴方だったのね?」




私のとまどいなど、お構いなく、その人は声をかけてきた。




中に居た人は、この前の女性だった。




「この前、薫の部屋から出てきたのを見かけたから、そうじゃないかと思ってたの。
息子がお世話になってます。」




そう言って頭を下げられた。




「えっと… あの…」




混乱する私に薫が、




「俺の母親。お袋は、お前がうちに居た事、知ってるんだ。」




と、さらっと言う。





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