光る道
「ねぇ… 二人で入っていいの?」




私は薫と少し距離をおきながら、話しかけた。




「大丈夫! ここは特別だから。 心配するな。」


そして、


「こんばんは!」



と、堂々と入って行く。






「いらっしゃい! おーっ! やっと連れて来たな。」




カウンターの中の男性が、薫に声をかける。そして私に、



「いらっしゃいませ。初めまして。」



と、優しく笑ってくれた。


私も慌てて、挨拶した。





私たちが案内されたテーブルは一番奥の個室で、誰からも見えない場所だった。




「俺が昔から通ってる店でさ。マスターが好みも全部分かってるから、安心して美味いものが食えるんだ。」




席について、彼が言う。






『創作フレンチ』と看板に書かれていた。


出てくる料理は、ベースはフレンチだけど、しつこくなくて、絶妙のバランスで運ばれてくる。




どれも美味しくて、この店が一気に気に入ってしまった。







< 219 / 228 >

この作品をシェア

pagetop