光る道
「酔い覚ましに風呂入れば? 夕希。」



「う、うん… 入ろっかな…」




頭がスッキリすれば、思い出すかもしれない。



「風呂場でコケんなよー。夕希!」



後ろから声が聞こえる。



あいつ… おもしろがって、わざと言ってるな! 








「ねぇ、あたし何したの?」



風呂からあがり、頭はスッキリしても、思い出せない。




私の真剣な表情に、さっきまで茶化してた彼も



「別に大した事はしてないよ。気にするな。」



と優しく笑ってくれた。






「ただ俺が、ドキドキしただけ…」



と、彼が小さくつぶやいたのには、私は気付かなかった。







それから、『夕希』『薫』と冗談半分に呼びあうようになった。




でもいつの間にか、それがあたりまえの呼び名になっていた…




< 27 / 228 >

この作品をシェア

pagetop