光る道
「ちょっと外回りしてきます。」




私はワゴンを押しながら、病棟を出た。




薬局や検査科を周り、エレベーターホールへ向かう。



とっくに診療が終わってる外来フロアが明るい。



エレベーターの前まで来ると、たくさんの人が行き交うのが見えた。



まずい… いきなり遭遇した?…



そう思う半面、目は無意識に薫を探してた。




・・・いた・・・・



医者の役なのか、白衣を着た薫は、男の人と真剣に話してる。



ヤバイ・・・ めちゃめちゃ格好いい。



真剣な顔も、スタッフと笑いあう笑顔も、家では見たことない表情…




その時、薫の視線がこっちに向きそうになって、慌てて目をそらした。




気付かれたかな… あぁもう! エレベーター早く来て!!




「すいません」



男の人の声に振り返る。
その人は続けて



「あのー。次のシーンにエキストラとして、出てもらえませんか? 」



「えっ?… そんな… 無理です。仕事中ですし。」


いきなりの事で、とまどいながらも断る。



「おい! 水谷! まだか?」
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