光る道
「ここだよね…」



マンションを見上げ、思わず独り言。


メモをもう一度見た。


 『香田 薫』


私にここを貸してくれる人の名前。
優しい人だといいな・・ 


気合いを入れて一つ目のドアを入る。
ロックのかかった二つ目のドア横の、インターフォンに部屋番号を入力し、チャイムを鳴らす。     


「・・・はい」


聞こえてきたのは、男性の声。
あれ?間違った? 
番号を見なおすが、間違ってない。


「あのー… 香田薫さんのお宅でしょうか?」


「そうですけど。どなた?」


「お部屋を貸して頂く予定の、相沢夕希と申します。」


「相沢…夕希?」


明らかに困惑してる声。旦那さんかな… 薫さんが話してなかったのかな?
そもそも結婚してるのかも知らない。


「とりあえず上がってきて。今から言う暗証番号で開くから。エレベーターもフロア毎だからね。そこも暗証番号入れないと、上がらないから…」


言われた通りにエレベーターに乗る。 すごいセキュリティ…


部屋前に立ち、少し震える手でチャイムを押す。


出てきたのは、やはり男性だった。それもどっかで見た・・・


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