光る道
苦しそうな表情で、井上さんは続ける。




「でもあっちも、どこまで追い掛けるか分からない。 もし貴方がつけられて、職場がばれたりしたら…
もちろん貴方は一般人だし、雑誌に載ることはないけど。
あなたに、嫌な思いをしてほしくないんです。あなたのプライバシーもしっかり守りたい…
その為には、これが一番だと、私は思うんです。」





この人は一生懸命、私の事を考えてくれている…


そう、思った。





「・・・・分かりました。部屋を出ます。」




「そうですか・・・ありがとう。 さっそく、部屋を手配します。 大丈夫だと思ったら、戻って来てもらうよう、連絡しますから。」




「いえ… 部屋は、結構です。連絡もいりません。
もう… 戻りませんから。」




ホッとした表情の彼が、私の言葉で一気にこわばった。




「いやっ! これは一時的なことだから!」




あせる井上さんに、私は微笑んだ。




「井上さんのせいじゃないです。彼の迷惑になる事は、したくないんです。私が居る事で、彼が嫌な思いをするなら、離れます。」



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