零~ZERO~
長い通院の始まり。闘い。
その病院は、病院…と言うか、明るい雰囲気のクリニックだった。

待合室も広く、お茶やコーヒーも、自由に飲めて、リラックス出来る。
いわゆる"精神科"をイメージしたのとは、全く違う場所だ。


患者さん達も、よくテレビや映画で観る"見た目"が明らかに違う人は殆ど居ない。
普通の内科のリラックス出来る場所と思ってもらえると分かり易いと思う。


だから、私も緊張しないで、初診を受けられた。
どんな事をされるのかと思ったけど、先生と対話して、今の状態のキッカケや、今の自分の状態、気分の話しをしたり、心理テストを受けたりするのだ。


後は、血圧を計ったり。血圧を計った時、思わず左腕を出してしまった。
リストカットの傷跡を見られてしまって、内心
"しまった。"
と思ったけど、何も言われなかった。それが逆に心地良かった。
ここでは、普通でいいんだ。偽りの自分を作らなくていいんだ。ありのままでいいんだ。


診断結果は、"典型的な鬱病"
聞いた直後は、正直凹んだ。
だけど、原因が分かって、スッキリした。
以前通っていた、心療内科に行くのを辞めて良かったと思った。


クスリの内容も随分変わった。今現在も変わり続けている。


両親、娘、共に鬱病…。ちょっと笑える。

まさか自分が…。とか思っていた私だ。母も、そう言っていた。

母譲りの気の強い性格。
でもそれは、硝子の、もろいココロを守る"盾"だったのだろうか。
気の強いふりをして、神経質なのだろうか。


原因が分かって良かったけれど、私は、その時、これから長い闘いが始まるとは、思いもしなかった。
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