零~ZERO~
詞音との交際
交際は順調に続いた。

初めて、彼の家に招待された。
詞音の、おばあさんに彼は、
『俺の、お嫁さんになる人。』
と、紹介してくれた。
照れくさくも嬉しかった。

私も、この人が最後に付き合う人だと思っていたから。


交際して、半年位たった頃、詞音と突然連絡が取れなくなった。

私は、彼の身に何かあったのかと思い、彼の家に行った。

彼の駐車場も見た。
車が無い。

おばあさんは、家に居るかもしれない…。

だけど、呼び鈴を鳴らす勇気がどうしても無かった。

けれど、私が来た事を証にしたくて、付き合っているすぐに買ってもらった、お揃いの指輪をポストに入れておいた。

それから、彼の自宅に電話をして、
『彼と連絡が取れなくて心配しています。私から、連絡があった事を伝えて下さい。』
と、詞音の、おばあさんに伝言を頼んだ。

数日後、突然詞音からメールが来た。
その内容は、

"親父が勝手に息子(詞音)を保証人にして、数百万の借金を背負わされる事になった。
親父を殺す為に、最後の手紙に書いてあった住所に行ったけど、居なかった。"
そんな内容だった。

私は、とにかく詞音と逢って話しがしたくて、何とか逢う約束をした。
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