零~ZERO~
同棲
貴矢と付き合い始めて3ヵ月。
私達は、一緒に暮らす事にした。


貴矢の実家から職場が遠いのもあって、少しでも近い場所に住みたい。と言う彼の希望もあったが、
『一緒に暮らそう。』
そう言われた。


実際に一緒になったのは、私のが後だった。
住まいは、2人で決めて、貴矢だけ仕事の為に先に住み始めていた。



鬱と今も闘っている両親は酷く心配した。

環境が変わって、症状が悪化しないか。
昼間、独りきりで何か起きたら、どうするのか。

貴矢の事は最初、正直タイプじゃなかったし、話しも合わなかったけれど、今では、理解者だと思っているので、私は何も不安が無かった。


だけど両親は、
『早すぎるのでは…。』
と言っていたけど、貴矢と私と父で、食事を兼ねた挨拶をして、貴矢がどんな人か知ってもらいたい。
父も知りたい、という事で、逢う事になった。




父は認めてくれた。
言われたのは、
『おままごとじゃないんだから、それを忘れないように。』
貴矢は、
『零さんを、悲しませる事は、しません。』
と、約束を交わした。



私は、約1ヵ月休職していた仕事に復帰したけれど、職場の人達の温かい配慮に甘えさせてもらって、短い時間で働く事になった。


復帰したばかりだったけど、暮らす為の準備で、荷物をまとめたり、職場を辞めるタイミングもあったけど、
『辞めます。』
と告げると、皆驚いていた。

病状のせいもあるけど、ここの職場から新しい家まで通うには、難しい距離だったから。

ここの職場は8年位、勤めていたので、私自身、辞めるのは惜しいと思っていた。
だけど仕方なかった。


私を、引き止めようとする人も居た。
人間関係には、割と恵まれていたと思う。
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