Believe~奇跡の鼓動~
「那月!!」
ハルくんが駆け寄った所に目をやると、そこには倒れた彼の姿があった。
…なっちゃん?
あたしはもつれる足を必死に動かした。
なっちゃん
なっちゃん
いやだ、いやだよ
なんとかその場に辿り着いたあたしは、絶望的なその光景に、へたりと倒れるように座り込んだ。
ぐったりとして動かないなっちゃん。
まるで地面を浸食するかのようにどんどん広がってゆく真っ赤な血だまり。
そのあまりの速さに恐怖を感じた。
「…いや…いやぁ」
どうしていいのかわからない
どうすればいいのかわからない
どうすればこの血をとめられるの
どうすればなっちゃんを助けられるの!?
あたしは彼の頭の傷を震える手で必死に塞いだ。真っ赤に染まってゆく彼の髪。手のひらに感じるなまあたたかい感触は、それでもとまる気配はない。
「なっちゃん!なっちゃん、お願い目を開けて!!」
「那月!」
その時、なっちゃんの目が微かに開いた。
「なっちゃん」
震える声で名を呼ぶと、うつろな瞳は、あたしの姿を見つけ、優しく揺れた。
「………」
なっちゃんの口元がかすかに動いた。
「なっちゃん?」
なっちゃんの目元が優しく微笑んだ。
「……なっちゃん?」