俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



絵梨にゃんには、告白されたその日に電話で報告した。


クラス中に先生との日々を赤裸々に語っていたあたしを好きになるなんて、池谷もなかなかやるねぇ、と笑っていたけれど。


それでも、あたしのために毎日時間を削って勉強を教えてくれた池谷くんの想いを、あたしには断ることが出来ないでいた。



やっぱり、一番ひどいのはあたしだ。


全てが中途半端で、何も結果を出せていないもん。




「柚が優しいのはあたしが一番知ってるけどさ。このままだと、

……大切なひと、全員失っちゃうよ?」




普段あまり感傷的にならない絵梨にゃんが、声を潜めて言う。



池谷くんにはイエスともノーとも返事をしていないし、


先生にはちゃんと気持ちを伝えられていないし、


あたしは、本当にずるいのかもしれない。




――恋って、むずかしい。




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