俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



「し、失礼します……」




恐る恐る診察室の扉を開けると、そこにはパソコンのキーボードを物凄い速さで叩く先生の姿があった。


きっと、前の患者さんのカルテでも書いているのだろう。


先生はこちらを見ることもなく、問診票をチラリと見て……




「今日は胸が痛いという症状でご来院ですね。どの部分が痛みますか?」




……あれ?

少し、違和感を感じる。


だって、先生の話し方が、いつもの無愛想でぶっきら棒な感じじゃなくて、ちゃんと患者を診察する“お医者さん”としての対応なんだもん。


あたしが来たから、目を合わせてくれないんじゃない。


これって、ただ単に。




「どうかしましたか……って、は?」



「ど、どうも……。ご無沙汰しております……」




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