俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



そう呟いた先生は、目じりを下げて、微笑んでいた。


久々に見る先生の微笑みに、胸の鼓動がうるさくなる。


キュッと目を瞑り、思いを消し去ろうと努力していた時、先生のぶっきら棒な声が耳に響いた。




「で、お前はとりあえず何の科目を勉強しないといけないんだ?」



「えっと……。とりあえず留年阻止するには、数学らしいです。もう少しで中間試験ですけど、期末や学年末にはもっと増えてるかも……」




「ふーん」と呟いても、先生は問題集を見る行為をやめようとはしない。


一体なんなんだろうと、頭にはてなマークを浮かべていると、先生が突然あたしのほうを見た。




「よし。やるか」



「へ……?」



「いくら学校でクラスメイトに教えてもらってるっていっても、お前の脳みそのことだから、すぐに知識が抜け落ちるだろ」



「……否定できないです」



「勉強するという心意気は大したもんだと思う。だけど、そんな状態じゃただの空回り。

――今日から毎日、勉強教えてやるよ」




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