神様は気になさらない(KK2)

出会い

「すこし、お話をさせていただけますか?」


人々から少し遅れて、教会を出ようとしたチャーリーを、神父が呼び止めた。


(やっぱり、来たな)


いくらか警戒し、だが、愛想よく笑いながら、チャーリーは振り返った。


「ええ、神父さんみたいなべっぴんさんになら、喜んで」


チャーリーの砕けた口調に(というよりも内容にだろう)、神父が眼鏡の奥の双眸を、少しひそめる。


「その形容は、女性にされるべきものではありませんか?私にはふさわしくないと思いますが」

「すいません、嘘のつけないたちなもんで」


チャーリーが、人懐っこく、笑う。
神父は戸惑ったように目をそらした。


「私のことはともかく、あなたのことを伺いたいのですが」

「俺ですか?なんでも答えますよ?ああでも、先に神父さんのお名前を伺わんと。すいません、少し遅刻してしもうて、自己紹介聞いていないんですわ」


チャーリーの砕けた口調に、とうとう神父は諦めたように、笑った。





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