あめとてるてる坊主

3)花屋の彼

 花がほしい。

 母がそう言ったのは、昨日の夜。

 誕生日に何がほしいか聞いた私への答えだった。


 綺麗な空を仰いで、汗をぬぐった。

 一番に近くの花屋は、家と学校の中間くらいにある。

 なんとなく歩いて行くことにしたけれど、途中でがっつり後悔した。

 太陽を隠す雲は見当たらない。

 ただ澄み渡る青空がある。

 ……バスでこればよかった。
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