あめとてるてる坊主
 満面の笑みを浮かべて出てきたのは、沙世ちゃん。

 そして、それを見送ったのは松永さん――里美ちゃんの彼氏だった。


 沙世ちゃんを見送った松永さんが振り返り、目があった。


「あれ?いらっしゃいませ」


 にっこりと言われた言葉に、私は頭を下げた。


「あの、沙世ちゃんと知り合いだったんですか?」

「え……?あ、もしかして、里美の友達?花火であった」

「はい、君島です」


 どうやらわかっていなかったようだ。

 暗かったし、ちゃんと把握していなかったようだ。
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