あめとてるてる坊主
 私は、願おうと思う。

 梅雨だし、そんな必要ないのかもしれないけれど。

 一日でも多く、君が右隣にいるように『てるてる坊主』ではなく、『ふれふれ坊主』に願いを込める。


 ――ふれふれ坊主、ふれ坊主、あーした雨にしておくれ――


 小さくこぼした懐かしい歌。

 晴れる日を望んでいたあの頃。

 今は少しでも多くの雨の日を望む自分に、少し笑った。

 そして、今朝は憎らしいと思ってしまったそのてるてる坊主を、なんだか急に、いとおしく思った。




(1)どきどき(完)
< 15 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop